多目的ファジィ制御ルールの学習は, 複数の制御誤差を同時に最小化する,すなわち, 微分不可能な複数の目的関数の多目的最適化問題とみなすことができる. しかし,制御ルールの良さは制御誤差のみで決定するのは困難であり, 実際の制御過程を観測して総合的に判断する必要がある. このためには,パレート最適解集合全体を近似的に求め, 解を総合的に比較して最良の解を対話的に選択することが有効であると考えられる. 本研究では,微分可能性を前提としない多目的最適化手法として Vector Simplex 法を提案し, これにより,パレート最適解の近似集合が得られることを示す. さらに,対話的に最適化を行うことにより,大局的な見地から比較を行い, より厳密なパレート最適解を得る対話的方法を提案する. 本方法により,多目的制御のためのファジィ制御ルールの学習が可能であり, 精度の高いルールが得られることを示す.