退化を伴う遺伝的アルゴリズムGA^d を提案する. 退化とは,生物において何らかの器官や組織が機能・構造などを失い,次第に衰退・縮小することをいう. 本研究では,損傷遺伝子を持つ個体は,その遺伝子に対応する形質の発現が不完全になったり,発現しなくなるため,退化現象を起こすと仮定する. 損傷遺伝子とは,環境の影響により突然変異を起こし,正常な遺伝子が不可逆的に変化した遺伝子である. 生存に有効ではない遺伝子は,損傷しても個体の環境への適応度が低下しないと考えられる. これを利用し,完全に損傷した遺伝子は削除されたとみなすことにより,有効性の低い遺伝子を削減する機能を実現する. この機能を用いてニューラルネットワークにおけるパラメータ構造を最適化することにより,GA^d がパラメータ数を削減できる汎用的な方法であることを示す.